


近年、日本では単身世帯が急増しています。総務省の統計によれば、すでに全世帯の約4割が単身世帯であり、今後も増加が見込まれています。結婚を選ばない方、配偶者に先立たれた方、子どもを持たない方など、背景はさまざまですが、共通して言えるのは「自分の意思を託す相手がいない」という不安を抱えやすいという点です。
こうした「おひとり様」にとって、亡くなった後の財産や手続きがどうなるのかは非常に重要な問題です。しかし、実際には「まだ元気だから」「自分には大した財産がないから」といった理由で、準備を後回しにしてしまう方が多く見られます。
しかし、おひとり様こそ遺言書を作成することで得られるメリットは大きく、遺言書の有無によって、亡くなった後の手続きの難易度や周囲の負担が大きく変わります。本コラムでは、おひとり様が遺言書を準備すべき理由を、専門家の視点から詳しく解説します。
遺言書がない場合、財産は民法の規定に従って自動的に分配されます。おひとり様の場合、法定相続人は兄弟姉妹や甥・姪になるケースが多く、本人の意思とは異なる結果になることが少なくありません。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
ほとんど交流のない兄弟姉妹が相続人になる
生涯にわたり支えてくれた友人には財産を渡せない
介護をしてくれた人がいても、法律上は相続権がない
寄付したい団体があっても、遺言がなければ実現しない
このように、遺言書がなければ、本人の意思が一切反映されないまま財産が分配されてしまうのです。
遺言書を作成すれば、
お世話になった友人
介護を支えてくれた人
寄付したい団体
信頼できる第三者
など、自分が本当に財産を託したい相手に自由に財産を残すことができます。
おひとり様にとって、遺言書は「自分の意思を確実に実現するための唯一の手段」といっても過言ではありません。
遺言書がない場合、相続手続きには相続人全員の同意が必要です。
しかし、おひとり様の相続人は次のような特徴があり、手続きが非常に複雑になりがちです。
相続人が高齢で連絡が取りづらい
兄弟姉妹が多く、意見がまとまらない
甥・姪が相続人になると人数が増える
相続人同士が疎遠で協力が得られない
このような状況では、相続手続きが長期化し、最悪の場合は財産が放置されてしまうこともあります。
しかし、遺言書があれば話は大きく変わります。
遺言書で「遺言執行者」を指定しておけば、その人が単独で手続きを進めることができます。
つまり、相続人全員の同意を得る必要がなくなり、手続きがスムーズに進むのです。
特におひとり様の場合、亡くなった後の手続きを任せられる人が限られるため、遺言書の有無は手続きの難易度を大きく左右します。
おひとり様にとっては、財産の分配だけでなく、亡くなった後の事務手続きも大きな課題です。
葬儀の方法
納骨の希望
遺品整理
役所への届出
家の片付け
ペットの世話
これらは、遺言書だけでは対応できない部分もありますが、
死後事務委任契約や任意後見契約と組み合わせることで、
自分の意思に沿った形で整理することができます。
特に死後事務委任契約は、おひとり様にとって非常に有効な制度です。
葬儀や納骨、役所手続きなどを信頼できる第三者に任せることができ、
「自分の死後に迷惑をかけたくない」という不安を解消できます。
遺言書は、こうした終活の中心となる重要な書類であり、
自分の人生の最終段階を自分自身で整えるための大切な準備です。
おひとり様の場合、相続人が疎遠であることが多く、
遺言書がないことで次のようなトラブルが起きやすくなります。
相続人同士が連絡を取り合わず手続きが進まない
財産の分け方で意見が対立する
遺品整理を誰が行うかで揉める
不動産が放置され、管理が問題になる
遺言書があれば、財産の分け方が明確になり、
遺言執行者が手続きを進めるため、トラブルを大幅に減らすことができます。
また、遺言書は「自分の意思を明確に伝える」役割も果たします。
残された人たちにとっても、故人の意思がはっきりしていることで、
精神的な負担が軽減されるというメリットがあります。
おひとり様の場合、遺言書がないと、
財産の行き先や死後の手続きがすべて「法律のルール」や「周囲の負担」に委ねられてしまいます。
遺言書を作成することで、
財産の行き先を自分で決められる
手続きを任せられる人を指定できる
トラブルを未然に防げる
自分の人生の最終段階を自分で整えられる
という大きなメリットがあります。
「まだ早い」と感じる方も多いですが、
遺言書は“将来の安心”を手に入れるための大切な準備です。
おひとり様こそ、早めに遺言書を作成し、
自分の人生を自分の意思で締めくくる準備をしておくことをおすすめします。